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三度目の殺人

~殺しているのか、いないのか…~
三度目の殺人

http://cinema.pia.co.jp/title/172308/

作品の冒頭、弁護士・重盛(福山雅治)は、ある殺人事件の担当を同じ弁護士事務所で働く摂津(吉田鋼太郎)から引き継ぐことになる。

「供述が二転三転して…」というような理由で摂津は重盛にこの事件を預けることになるのだが、この程度の理由で担当を同僚に代わってもらった摂津、実はかなりの深い闇をこの事件の中に見出していたのではないか。
摂津は表面上、弁護士として常識的な、スタンダードな弁護士として描かれているが、吉田が演じることによって、この事件のウラにある「いやな匂い」を観客に感じさせる。
はじめから主人公である重盛が担当している事件としてストーリーが展開しても全然違和感がないのだが、わざわざこうした変化球で物語を始めたことで、私たちにこの事件の「解けないパズル」を暗示したかったのだろう。

パズルのピースは様々な形でストーリーの中に提示される。

容疑者・三隅(役所広司)の、30年前に犯した殺人事件、
被害者の妻・美津江(斉藤由貴)への疑惑、
被害者である父を憎む娘・咲江(広瀬すず)、
そして三隅と咲江のひそかな交流。

観客はストーリーを追いながらこのようなピースを頭の中で組み立てて、パズルを完成させていく、
というのが、通常の法廷ドラマと観客の関係であろう。

しかし、本作ではこの関係性が見事に裏切られる。

「事件の真実」というパズルの枠を、意図して観客に見せないという、実に難しい実験が本作で行われたのだ。

事件の真実が見えなければ、本作に登場する裁判官、検事たちも困惑する。裁判官、検事、弁護士の三者での事前協議によって共有されていたはずのパズルの枠は、作品の中盤、重盛によって壊されそうになり、三者は混乱する。

しかし、「真実のない事件はない」という原則の下でなければ、裁判制度は成立しないのだ。
あやふやになりそうな真実=パズルの枠は、三者の談合的な話し合いによって、かろうじて維持され、最後の判決に至る。
裁判官、検事、弁護士の三者は実は摂津のいうとおり、呉越同舟であるのだ。

観客は、最後の判決に関して、もちろん違うのではと思う。
しかし「事件の真実」というパズルの枠も提示されないので、ピースを組み入れることが出来ずにそのままお持ち帰り、ということになってしまう。

殺しているのか、いないのか。
はたまた、こんな終わり方でいいのか…。

もやもや感は残る。
ただ、是枝監督の難しい実験に立ち会ってしまったな、という変な高揚感があったのも事実。

お勧め度8(10点満点)

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jow

Author:jow
邦画限定、とりあえず見た映画のレビューを書く。
2016年の正月に今年の抱負として言っちゃってから半年以上過ぎて、
やっと腰を上げる。
動画配信、DVDレンタルの時に利用してくれればうれしい。
本屋さんの「店員おススメ」手書きポップ的に見てくれればうれしいなと。

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